第一章


メキシコ・シティからプエルト・エスコンディードまで



  1. 1.「55ペソ」・・・「母ちゃんは、どこだ?」「母は、日本です」

  2. 2.腹ぺこ市場・・・太郎は空腹で目が覚めた。テレビが点けっぱなしになっている。

  3. 3.ジプシーのタロット占い・・・「ルピータ! ルピータなの!」太郎は老婆に抱きついた。

  4. 4.「南はよくないと出ている」・・・「東洋の坊や、あんたは南のほうに行くつもりだね」

  5. 5.「ラ・プンタに行きな」・・・「タロウ、お前、あの岬に行くんだろ」

  6. 6.長距離バス・ターミナル・・・南に向かう長距離バスが発着するのは、地下鉄タスケーニャ駅にある大きなターミナルだ。

  7. 7.サーファーは嫌いだ・・・日本でも、太郎は波乗りをする連中が好きではなかった。

  8. 8.バンディードス、強盗だ!・・・ガタン。バスが急に止まって、目を覚ました。

  9. 9.「金を出せよ、セニョール」・・・車体の横の暗がりで、バンディードスがトランクから荷物を出しているのが見える。

  10. 10.デンマークの若い女三人が!・・・なんで、あいつらはニヤニヤしてるんだろう?

  11. 11.少女は森の茂みへ・・・バンディードスはいなくなった。森に隠してあった車に乗って走り去った。

  12. 12.旅費も、航空券も・・・夜は明けて、熱帯の太陽が刻々と高くなっていく。

  13. 13.グアダルペの処女・・・それから、どれくらい時間が経ったのだろうか。

  14. 14.「行くあてはあるのかい?」・・・肩を叩かれて、太郎は目を覚ました。

  15. 15.父の写真の岬・・・太郎は、ずんずんと海岸段丘を突っ切っていった。


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「母ちゃんは、どこだ?」

「母は、日本です」

「じゃ、父ちゃんと一緒か?」

「・・・」

 父のことをきかれて、太郎は言葉に詰まった。父親が今どこにいるのか知らなかった。

 安ホテルの薄暗い電球が、細長い通路を照らしていた。鉄格子に守られたフロントの中で、男はサッカーの試合を見ていた。バック・パックを背負った太郎を、ジロジロと観察した。

「一人旅には、まだ早いだろ。ぼうず、年はいくつだ?」

「十六です」

「六歳じゃネエのか?」  »» 続きを読む