サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−23「僕は、とっても、生きている」

 

熱帯の、雲ひとつない空。「生きてる! 僕は、とっても、とっても、生きてる!」

 太郎は、東洋人のサーファーに気づいた。波打ち際を少し上がった所にボードを立て、男は太郎を見つめていた。

 インサイドで波がひときわ高くなった。

 太郎はガン・ボードを水平に近づけ、弾丸のように壁を横切る。

 それに遅れまいと、レヒーノたちも懸命に走る。

 垂直になった水の中に、太郎は左手の指先を入れる。波の頂きがますます薄くなっていくのを感じた。

 水のおおいが、太郎の頭を越える。

 その流れる膜を通して、朝日がきらめく。

 透明なエメラルドの帯がすっと頭上を伸びて、チューブ。奥のほうが小さな円となって、空が見える。まるで青い瞳のようだ。

 太郎は光の中につつまれて流れる。

 水の壁が優しく優しく太郎に寄ってきた。

 体が自然にそれにこたえる。

 水をつたう光が、太郎を抱いた。

 あ、波の瞳が閉じる!

 と思ったとたん、壁を破って太郎の体が反対側に出た。

 空の青さが上から降ってきた。

 熱帯の、雲ひとつない空だった。

 「生きてる! 僕は、とっても、とっても、生きてる!」

 波の背に立った太郎は、空にむかって両手を差し出した。そして、空と抱き合うように背中から海に倒れた。

 緊張がふっと緩んで、気持ちいい。ニュージーランダーをメイクしたという歓びが、手足の隅々にまで満ちわたる。

 その歓びはすぐに「もう一度」という欲求に変わって、太郎は水から顔を出した。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!