サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−17「ピートのライド」

 

波の先は、ラ・プンタの断崖よりも高い。そこを滑るピートは、そのまま岬に渡れそうだ。

 太郎の角度からだと、ぴらぴらとした波の穂先はラ・プンタの断崖よりも高く見える。そこを滑るピートは、その気になればそのまま岬に渡れそうだ。

 波はここでいったん分厚くなる。

 斜面の角度が緩やかになって、スピードが落ちる。前足を屈伸させて、ピートは板で水面を叩く。そうやって、速度を作りだすのだ。小さなトリミングをくり返しながら、少しでも急な面を見つけだし、そこにボードを運ぶ。

 こうやって凌ぐと、水の丘はふたたび掘れ上がり、ボードにスピードが甦る。水面はとたんに角度を取り戻し、垂直に立った水の弧はピートの頭の上を飛んでいった。

 リラックスしたピートは、両手を宙に上げた。波の天井に左手の跡が線を引いた。

 太郎が見ることができたのは、ここまでだった。

 それから先、波が高まるたびにボードの切る水しぶきが見えたが、ピートの影そのものは見えなかった。波の頂きが沈み、崩れた跡が右から左に走るのが見えただけだった。

 波が閉じた。

 波の頂点を作る線が、一気に白く変わった。

 膨大な量の泡の濁流が暴れまくる。一つ崩れたあとに、「発射台」を砕くような波が二つ目、三つ目と続いた。

 再びその姿が見えたとき、ピートはパトロール・カーへ連行されるところだった。岸辺で揉み合う白いスープの中で、警官に両脇を押さえられピートは立ち上がった。その後ろに、二つに折れたガン・ボードが、持ち主を追いかけるように流れ着いた。

 「ピート!」

 うねりの山の上から太郎は怒鳴った。波の轟音に消され声が届くはずはないのだが、ピートは振り返った。そして、警官の腕を振りほどくと、太郎にむかって力強く拳を突き上げてみせた。

 ピートの奴、・・・。

 逮捕されたことよりも、危険な波に挑めたことがよっぽど嬉しいに違いない。感激が気持ちよく伝わってきて、太郎は沖に向きなおった。

 パコロロもピートのライドを見つめていた。

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