サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−12「ドルフィン・スルー」

 

僕のダック・ダイブ(ドルフィン・スルー)じゃ、この波は抜けきれない。

 砂の上からガン・ボードを拾い上げると、太郎は水の中に入っていった。

 パドル・アウトが楽ではないのは、もちろんわかっていた。が、二、三回波に叩かれればショア・ブレイクを抜けられると、太郎は考えた。泳ぎだしてみて、それがとんでもない間違いだということにすぐに気づいた。

 立て続けにダック・ダイブ(ドルフィン・スルー)に失敗すると、太郎はショア・ブレイクに押し返された。あがけばあがくほど、沖に出るどころか岸に近づいていく。太郎はいったんボードから降りた。体は、腰ほどの浅さの所まで流されていた。

 いつもなら、自分のふがいなさに、太郎は腹を立てたかもしれない。しかし、今日は少しもそんな気持ちにならなかった。

 沖に出られなければ、出られるまでやめなければいい。

 と淡々とした気持ちでいた。

 再び水に入る前に、太郎はもう一度潮の流れを観察した。ボードを沖に運んでくれそうな澪 は、普段よりはるかに岩場に近いところから出ていた。その岩の間には、大きな波が来るたびに白いスープが渦を巻いた。

 すべては、タイミングしだいだ。・・・。

 沖を見つめていた太郎は、頃合いを見測ると岩づたいに歩いて海に飛び込んだ。 パドルを始めるとセットの波がやって来て、すんでのところで太郎はそれから逃れた。

 ほっとして腕を休めている暇は、なかった。

 僕のダック・ダイブじゃ、この波は抜けきれない。・・・。一つは潜ってかわせるかもしれないし、二つ目だってなんとかなるかもしれない。でも、こんなに大きな波に三つ続けて成功させるほど、僕のダイブは完成していない。きっと、ボードを水に押しつける力が弱って、どこかでタイミングが狂ってしまう。縦に巻く水にボードをはじかれれば、そこで終わりだ。

 だから、波が来る前にできる限り沖に出なくては、・・・。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!