「覚悟はできているんだね。勝手にするがいい。ただ、アタシらもアタシらの生活を守らなきゃならないからね」

 「お前、いま波乗りをすると、どんなことになるか分かっているね?」

 「シー」

 「タロウ、それでもお前は沖に出ていくのかい?」

 「シー。それでも、僕はニュージーランダーに乗ります」

 「じゃ、お前にもそれなりの覚悟ができているんだね」

 「はい」

 「わかった。それなら、勝手にするがいい。ただ、アタシらもアタシらの生活を守らなきゃならないからね。・・・。わかってるね」

 「ノー、母ちゃん。ノー」

 アニタが悲鳴をあげた。

 「そんなことしたら、タロウが、・・・。タロウが!」

 「レヒーノ! ちょっと、こっちにおいで」

 少年は、小屋の戸の陰から出てきた。そこで一部始終を聞いていたのだ。レヒーノはうつむいて、母親のそばに立った。

 「お願い! タロウ、まだ間に合うよ」

 アニタは太郎に抱きついて止めようとした。

 「考えをかえて! 『波乗りをやめる』って言って」

 「ノー、アニタ。僕は決めたんだ。決めたら、もう逃げない」

 太郎は優しくアニタの腕をほどいた。

 「ごめんよ、アニタ。たとえどんな事が起ころうとも、僕は逃げないんだ」

 そして、少女に背を向け、海へと歩きだした。

 「レヒーノ!」

 「シー、マミータ」

 「警察を呼んでおいで」

 「ノー、マミータ。ポル・ファボール、ポル・ファボール」

 アニタは、今度は母親にすがりついた。

 「アタシらがね、グリンゴと関係ないことを示すには、こっちから警察を呼ぶのが一番なんだ」

 弟は、姉の涙をじっと見ていた。

 「レヒーノ、何してるんだい。早く行きな!」

 「シー、マミータ」

 少年は赤土の道をカレテラにむかって駆けだした。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!