「ポル・ディオス(神様のために、お願いだから)!」

 「タロウが警察につかまったら、アタシたちもタダじゃ済まないよ、きっと。タロウをかくまっていると思われて、アタシたちも捕まるかもしれない。たとえ捕まらなくても、警察ににらまれたら生きていかれないよ! いろんな嫌がらせをされて、ラ・プンタにいられなくなる!」

 イネスは、自分の憂慮を代わりに訴える娘を、心配そうに見つめていた。隣のハンモックに横になっている父親でさえ、背を向けながらも全身を耳にして聞いているのが伝わってきた。

 太郎は迷った。明日来る大きな波への恐れもあった。「しない」と言ってしまえば、その恐怖からも解放されることになる。

 「タロウはいいよね。どんなことが起きても、いずれハポンに帰ればいいんだから。だけど、アタシたちは、行く場所が無いの。アタシたちには、ラ・プンタしかないの」

 「・・・」

 「ポル・ディオス(神のために、お願いします)」

 アニタは泣いてはいなかった。太郎を責めているわけでもなかった。

 アニタは、ただひたすら真剣だった。

 真剣に太郎の瞳を見つめていた。

 嘘泣きでもしていてくれたら、どんなに楽だろうと太郎は思った。そして、少女の真剣さには、こちらも真剣に答えなくはならないと思った。

 じゃ、僕の真剣さって、何だろう?

 アニタやイネスにに受け入れてもらいやすいことを決断するのは、簡単だ。一日波乗りをしなかったからって、死ぬわけじゃない。ニュージーランダーのピークの上から、波のボトムを見てビクビクする必要もない。

 ただ。

 と太郎は思う。

 僕はまた逃げるんだろうか?

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!