サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−4「明日は、やめて」

 

「明日しなくたって、いいじゃないの。一日ぐらい我慢できるでしょ」

 陽が沈む頃になると、朝の静けさとうってかわって、波はだんだん大きくなってきた。大きさだけではない、動きそのものが速くなり、力強くなってきた。セットとセットの間隔が短くなってきている。一つのセットでやって来る波の数も増えてきた。これは、うねりがますます大きくなる兆しだ。

 明日は凄い日になる、という予感とともに夜を過ごすのは、少し落ち着かない。予想が外れてしまって翌朝湖のような海を見ることだってありえるし、その通りになったらなったでエピック・デイの大波が待っているのだ。

 日が暮れて一人ハンモックに横になると、否応なく太郎の耳に波の音が飛び込んできた。崩れる波の轟は、明日まちがいなくニュージーランダーが来ることを示していた。

 夕食の片づけを終えて、アニタが太郎の脇に立った。

 「丘の上の十字架を見た?」

 「うん」

 「ピートが戻ってきたのね」

 「ああ」

 「どうかお願い。もう、あのグリンゴとはサーフィンしないで」

 アニタがピートを「グリンゴ」と呼ぶのを太郎は初めて聞いた。

 「グリンゴと関わると、タロウも警察に捕まるわ」

 「警察?」

 「今日のデモのことで、警察はカンカンになってるらしいの。明日は、あの人たちを捕まえに来るんだって」

 太郎が顔を上げると、小屋の戸の前にイネスとレヒーノが立っているのが見えた。

 「一緒にいたら、タロウも逮捕されるわ。だから、グリンゴと波乗りしたら、ダメ! 捕まったら、牢屋よ」

 メキシコの警察のことだ。それくらいで済むかどうか、・・・?

 「サーフィンなんかにために、警察に捕まったらバカみたい。明日しなくたって、いいじゃないの。一日ぐらい我慢できるでしょ。グリンゴさえ捕まってしまえば、あとは好きなだけできるから。明日だけ、明日一日だけ」

 「だけど、・・・」

 「お願い  、タロウ」

 アニタが砂に膝をついて、太郎のハンモックにすがった。

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