サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−19「何が狂ったのか」

 

「どんなにでっかい波に乗っても面白くネエ。いったい、何が狂っちまったんだろう?」

 パコロロは一人だった。

 極端にむすっとした顔で、怒っているかのように波をテールで引き裂いている。勢いあまって板が必要以上に回り、波から落ちてしまうほど、力を込めていた。そして、黙々と沖に戻っていく。

 「チンガ・エル・ゴビエルノ(政府のバカ野郎)」

 「チンガ・ロス・グリンゴス(グリンゴのバカ野郎)」

 「チンガ・メヒコ(メキシコのバカ野郎)」

 「チンガ・ラ・ビーダ(人生のバカ野郎)」

 ショート・ボードで波を蹴り破るたびに、パコロロは怒鳴り声を上げた。

 いったい何に、そんなに腹を立てているんだろう?

 そんなパコロロと話をするのは、気がすすまなかった。

 ひとつ波に乗って、早く岸にゲット・インしよう。

 太郎はそう思ったが、そんなときに限り、うねりに騙されて、乗れない波でテイク・オフしようとしてしまう。

 パコロロが、太郎に気づいて近づいて来た。

 「来たか、ハポネシート」

 「ブエノス・ディアス」

 「ハポネシート、俺がサーフィンをしてて、楽しそうに見えるか?」

 太郎は首を振った。

 「チンガ・ラ・ビーダだ! ちっともおもしろくねえ!」

 パコロロは水面に平手打ちをくらわせた。水のつぶがちぎれて飛んだ。

 「どんなにでっかい波に乗っても面白くネエし、どんなに長く立っててもつまらねえ。『水の上に立ったからって、いったい何になるんだ』って気分になりやがる」

 「・・・」

 「何が狂っちまったんだろう?」

 「・・・」

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