サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−18「カリサリージョ」

 

プエルト・エスンディードの十字路を越えしばらく北に向かって歩く。「トレイラー・パーク」の標識が目印だ。

 「ホロウ」って何だろう?

 空っぽって意味だったと太郎は覚えている。

 空っぽな波か、・・・。

 波の底が空になるくらい掘れる波ってことかな。

 オアハカの春は短い。ないと言ってもかまわないくらいだ。かすかに気温の下がる冬が終わると、もう暑さに陽炎がたっている。

 太郎は、太陽に焼かれたカレテラをガン・ボードをかかえて歩いていた。カリサリージョに行けばパコロロに会いそうな気がしていたが、波の魅力には勝てなかった。

 プエルトの町の十字路を越えしばらく北に向かい、やっと目印の「トレイラー・パーク」の標識が見えた。太郎はその敷地に入ったが、人の気配はなかった。右手は畑だった。敷地も似たような草が一面に生えていたが、そこは駐車場であるはずだった。奥には、木がこんもりと茂っていた。

 空の青さが濃いほうに歩いていくと、森かと見えたところが断崖だった。太郎は、木の幹につかまって身を乗り出してみた。すると、木の葉の間から、小さな岬がのぞいた。

 足元には、水の流れた跡が崖の下へと刻まれていた。これが、道なのだろう。人の足跡もある。

 長いガン・ボードを木にぶつけないよう気を配りながら、太郎は崖を下りていった。乾燥した細かい赤土が足の裏と擦れて、気持ちが悪かった。

 崖の下まであとわずかという辺りで水が湧きだし、太郎の足を冷たく濡らした。大きな岩をまたぐときには、苔に滑って転びそうになった。最後はボードを砂の上に投げて、太郎は岩から浜に飛び降りた。

 ・・・。

 とたんに、光と陰のコントラストに目がくらんだ。

 そこには、断崖の緑に三方を囲われて、小さな入り江がひっそりと隠れていたのだ。残る一方の太平洋からは、本物のエメラルド色の水が真っ白な砂浜を洗っていた。

 左右の断崖は、岩肌をむき出しにして垂直に海に落ちていた。その真下の暗礁で、それぞれ波が割れている。右の岩場に、ライト・ハンダー。左の岬  ブレイクは、レフト・ハンダー。ときおり来るセットは、入り江の中央から立ち上がった。

 砂浜に紛れ込んでいる岩に気をつけて、太郎はさっそくパドル・アウトした。強いリップが砂浜のちょうど真ん中から流れていて、体は何もしなくても沖に出ていく。

 水をかきながら首をあげると、テイク・オフする黒い影が見えた。レフト・ハンダーを、波のいちばん奥から乗ってくる。

 やっぱりいたか、・・・。

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