サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−17「世界のイイ波」

 

トードス・サントス。ナティビダ。ティクラ。リオ・ネスパ。P・エスコンディード。チャカグワ。プンタ・コネホ。

 「ハポネシート(日本人ちゃん)」

 パコロロは太郎が日本人だということを知っていた。

 「その雑誌の写真を見てみろ。それ、今お前が見ているそれは、バリのウルワトゥだ。ハワイの仲間が、インドネシアは良いって言ってた。メキシコに負けないくらいにな。ニアス、G−ランド、パダン・パダン、ヌサ・レンボンガン、デザート・ポイント、ロティ。そこに小さな地図が付いているだろう。その、横に並んだ島がインドネシアだ。島の脇の濃い青がジャワ海溝。インド洋で生まれたうねりはすべて、最後はここを通り抜ける。もの凄い速さでな。だから、インドネシアにはいつも大きな波が立っている」

 パコロロが手を伸ばしてページをめくった。

 「ヨーロッパにもイイ波はあるぞ。ポルトガルのスーパー・チューブ、名前だけでワクワクしないか? スペインのムンダカ。大昔の城の隣で、ヨーロッパで最も長いレフト・ハンダーに乗ったら、征服者  になれる。メキシコ人の『コンキスタドール』だ、愉快だろ。それから、フランスだ。大西洋のうねりを熊手みたいに集める地形が、ビスケー湾に沈んでる。その終点がオセゴー、ラ・ノールのAシェイプのでっかい波だ」

 不思議だな。・・・。みんな、パパの姿を見かけたという噂がたった場所だ。・・・。

 太郎の手から、パコロロが雑誌を取り上げた。

 「だけど、いいか。世界で一番いい波が立つのは、メヒコだ!」

 メキシコ人のレジェンドは、指を折りながらブレイクの名前を挙げだした。

 「まず、トードス・サントス。続いて、ナティビダ。バハから海を渡って、ティクラ、リオ・ネスパ。で、プエルト・エスコンディード。チャカグワやプンタ・コネホも忘れちゃいけない。カリフォルニアのサーファーはなあ、そうやって南に下りてきて、エル・サルバドルやコスタリカに行くんだ。そのままペルーの波まで乗れれば、パーフェクトだ。そうゆう旅をしてみたいと思わないか、ハポネシート?」

 「シー」

 太郎はうなづいた。

 「グリンゴには簡単なんだけどな。お前みたいなハポネスだって、やりたいと思えばできるだろ。だが、俺みたいなメヒカーノはな、・・・」

 「僕だって、できません!」

 パコロロがじろりと太郎をにらんだ。

 「じゃ、ハポネスのお前がメヒコにいるのは、旅じゃないっていうのか?」

 「・・・」

 「金があって、旅行ができることを恥じることはないぜ、ハポネシート。世界には、イイ波がたくさんあるんだ。そんな波に乗れるんなら、俺は何だってするよ。体だって売る」

 パコロロがまたあの目をした。

 「明日もラ・プンタに波がなかったら、カリサリージョに行け。あそこなら、ビーチ・ブレイクのようにホロウじゃない」

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