サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−12「友達を食べる」

 

イルカは友だちじゃないか。一緒にサーフィンしたのに。仲間を食べても平気なの?

 早くこいつを戻してやらなきゃ!

 太郎は全身の力を込めてイルカを押したが、足元の砂がむなしく掘れるだけだった。

 イネスたちのあとに、村の老人と女たちが数人ついてきた。アニタも、やぶにらみとその子供たちも浜に出てきた。

 太郎は、イルカをかばうようにその前に立った。

 「タロウ、でかしたね。今晩は、ごちそうだよ」

 イネスがマチェーテの先でイルカの膚をつついた。

 「ノー、イネス母ちゃん。まだ生きているんです」

 「生きのいいほうが、いいに決まってる」

 イルカは口を開けたり閉めたりしている。

 「待って! こいつを海に帰してやって下さい!」

 「何をバカなこと言ってるんだ、タロウ」

 「ねえ、レヒーノ! こいつは友だちじゃないか。一緒にサーフィンしただろ。仲間を殺して食べても平気なの?!」

 「だって、おいしいんだよ。それに、もうすぐに死んじゃうよ」

 「アニタ! アニタ! イネス母ちゃんを説得してよ!」

 アニタは微笑みでそれを拒んだ。

 可愛らしく、純真な笑顔だ。美しい。アニタは、波に乗っているときよりも神々しく見えた。その屈託のない綺麗な瞳が、イネスがマチェーテをイルカの頭に振り下ろすのを見ている。

 「お願いです! やめて下さい!」

 マチェーテはイルカの頭蓋骨を叩き、裂けた膚から赤い血が吹き出た。イルカは簡単に死ななかったので、イネスは何度もマチェーテを振りかざさねばならなかった。そのたびにイルカが全身を震わせた。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!