サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−8「パドル・アウト」

 

二人でパドル・アウトするのは、久しぶりだった。仲間が増えたのはうれしかった。

 三月になった。

 レヒーノの足の痛みはすでになく、杖無しで歩けるようになっていた。ただ、足は再び元のようにはならなかった。一歩踏み出すごとに、左足は妙なリズムを刻んだ。

 「レヒーノ、海に出てみるか?」

 もうその時期だと思って太郎が声をかけると、レヒーノは喜んでついてきた。

 「ねえ、そのとんがったボード借りていい?」

 「もちろん」

 怪我をしたレヒーノは、まだこのガン・ボードに乗ったことがなかった。

 初めて持ったガン・ボードのその長さを確かめるように、レヒーノは板の縁 をひととおり手のひらでなぞった。

 「よし、行くぞ、レヒーノ」

 二人でパドル・アウトするのは本当に久しぶりだった。ピートがいなくなっていらい一人っきりで波乗りをしていた太郎にとって、仲間が増えたのはうれしかった。いいライドができたときに、それを見てくれる人間が誰もいないのは、つまらなかった。

 イイ波が来たら、今日はレヒーノにみんな譲ってやろう。

 太郎はそう決めた。

 ショア・ブレイクを難なく抜けると、レヒーノは大きく弧を描くように岬の先へ近づいていった。

 レヒーノのヤツ、忘れていなかったな。

 ラ・プンタの潮の流れを上手く使って、レヒーノは楽々とパドルする。うっかりすると、小さいボードに乗った太郎のほうが遅れそうだった。

 「発射台」には、そこそこの波が入ってきていた。

 綺麗に波が崩れるのを見て、

 「バモス、バモノス」

 とレヒーノは、がむしゃらにパドルする。

 岩の脇に並んでボードにまたがっても、きょろきょろと沖を見たり岸を見たりレヒーノは落ち着かなかった。そして乗れない波に強引に乗ろうとして、無意味なパドルをくり返している。

 ひとつ乗るまでリラックスできないのは、無理もないよ。僕も、いつだってそうなんだ。まして、レヒーノはもうずいぶん波乗りをしていないんだから、・・・。

 「レヒーノ、久しぶりで、岩が怖くないかい?」

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!