カレテラ(国道)を、ときおりバスやトラックが通りすぎる。 乾いた赤土が粉になって舞う。

 高台を走るカレテラ(国道)からは、太平洋が一望できた。

 もしかしたら、波が割れている場所があるかもしれない。帰りがてらに眺めていこう。

 そんな期待を持って太郎はここまで登ってきたが、真っ青に広がる海のどこにも白い波が立っていないのを見てがっかりした。

 乾いた赤土が粉になって舞う道路を、ときおりバスやトラックが通りすぎた。自動車が通過するたびにつむじ風がおきるので、太郎はボードをしっかり握って立ち止まらなければならなかった。

 また、車だ。

 干し草を荷台にあふれんばかりに積んだトラックが、ゆっくりと近づいてきた。

 サーフ・ボードの脇をわさわさと音をたてながら車が過ぎると、その荷台のへりに少女が一人腰掛けているのが見えた。

 先に気づいたのは、アニタのほうだった。

 こちらにむかって手を振るので、太郎もそれに応えた。

 アニタが振り返って運転手に何ごとか言うと、錆びついたブレーキの音とともに車が止まった。

 「タロウ、早く、早く」

 アニタが大声で太郎を招いた。

 数十メートル先に止まったトラックまで、太郎はボードをかかえて走った。そして、ボードを積み荷の間に丁寧に横たえると少女の脇に座った。

 「きっとタロウが歩いてると思ったら、その通りだった。タロウが『ビーチ・ブレイク』に行ってるってレヒーノが言ってたから、カレテラを歩いてるタロウに、帰りは会えるだろうって思った」

 少女の声は、はずんでいた。

 「母ちゃんに頼まれて、アタシ、市場まで行ってきたの」

 トラックは、貧相な小屋の並ぶ丘を過ぎた。すでに草を刈り取られた野には火が放たれ、春の支度が始まっていた。

 「『ビーチ・ブレイク』でグリンゴが刺されたって、市場の人たちが噂してたけど、ホント?」

 「うん。僕は目の前で見たよ」

 「みんな雨のないせいだわ。雨が降らないから、みんなイライラしている。雨が振りさえすれば、大きな波が立つのに」

 「大きくなくてもいいよ。サーフィンができる波なら、僕はそれで充分だ」

 「ほらね。タロウもカリカリしいている」

 「だってさ、・・・」

 カレテラから望む海は、湖のように静まりかえっている。

 ピートなら、こんなフラットが続いたときにどう過ごすんだろうか?

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!