レヒーノは«グアダルペの処女»に波が立つように頼むと約束した。しかし、本当にそうしたかどうかはわからない。

 レヒーノは«グアダルペの処女»に波が立つように頼むと約束したが、本当にそうしたかどうかはわからない。

 うねりはいっこうに来なかったし、太郎と目が合うとレヒーノはニヤリと笑うだけだった。

 波がラ・プンタになければ、ボードをかかえて探しに行く以外なかった。だから今日は、砂浜づたいに歩いてプエルト・エスコンディードまで来てしまった。

 ・・・。いつもここに来るときは、もの凄くデカい波が立ってる。大きい波とはいわないけど、サーフィンができるくらいの波があるんじゃないかな。

 と太郎は期待した。

 確かに、波はラ・プンタよりは大きかった。

 パコロロの建つ断崖の下、ホテル・アルコ・イリスの正前に、小さな波が立っていた。岸からほんの十メートルかそこらの所で波は割れていて、そこにはサーファーが七、八人波を待っていた。

 波を待っている人がいるっていうことは、サーフィンができるっていうことだよな。

 他のサーファーに混じって波乗りをすることに慣れていない太郎は、邪魔をしないように一列に並んだ男たちの隅についた。

 うねりは頻繁にやって来たが、どれもこれも小さすぎて乗れるような波ではなかった。まれにやって来るセットの波だけに、かろうじて乗ることができるようだった。

 そのセットの波に全員が向かっていく。

 これじゃ、乗れないよ。

 波のピークから離れたところで待つ太郎には、まったくチャンスがなかった。セットの波が来るのを十五分待つ。やっと来たかと思ってそれに乗ろうとすると、より良い位置で待つサーファーに波を取られてしまう。そして、また十五分待たねばならない。

 太郎は波を待ちやすい場所にパドルした。

 すれ違いざまに他のサーファーと目があったので、

 「ハロウ」

 と英語で挨拶すると、男はもの凄い形相で太郎をにらんだ。

 僕にここにいて欲しくないってことだな。

 その顔つきをそう理解したが、太郎だってもう数週間も波らしい波に乗っていないのだ。そう簡単にここを去るわけにはいかなかった。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!