サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−52「警察のメッセージ」

 

ゲレーロ州警察も、地元オアハカの警察も動きだした。火事は、「暴露したら、報復をするぞ」というメッセージ。

 火は一日中燃えつづけ、夕方になってやっとおさまった。陽はすでに海に沈み、それを追いかけるように白い月も水平線に消えた。

 レストランテ・イネスの前には一台の古いジープが止まり、運転席ではサパティスタの男が待っていた。

 焼ける前にピートたちが運び出せた物は、多くなかった。それも、もうあらかた車の荷台に積み込まれている。立ち退く準備に時間はかからなかった。

 アニタたち姉弟は小屋の中に身をひそめて、戸の隙間からその始終を見守っていた。イネスは何事もなかったかのように普段と変わらずに家事を続けた。太郎は、イネスの目が気になって、二人を手伝うことができなかった。父親の隣のハンモックに横になって、二人を眺めていただけだった。

 「危険なことをする連中は、結局最後はこうなるんだよ」

 好奇心いっぱいに見つめる子供たちに、イネスは小声で言って聞かせた。

 最後の荷物を手に、車の入れない小道をピートとヘスーサが降りてきた。

 太郎は、ついに我慢ができなくなって立ち上がった。

 「タロウ、ノー!」

 イネスが止めようとしたが、サヨナラを言うだけですと太郎はジープに近づいた。

 「どうしても行くの、ピート?」

 「逃げなくて済むのなら、私だって、この美しいラ・プンタで波乗りをしていたい。当然じゃないかい?」

 「だけど、・・・」

 「パコロロが来ていただろう。あの男は、メキシコの秘密警察のために働いている」

 ピートが太郎に説明をした。

 「ゲレーロの警察だけではなく、ついに地元オアハカの警察が動きだしたのだ。火事も彼らが誰かに放火させたのだろう。仲間の暴行事件をサパティスタが暴露するならば、その報復はするという奴らのメッセージだ」

 「行かないでよ、ピート。ピートがいなくなったら、誰にサーフィンを教わればいいの?」

 ピートは答えなかった。代わりに、ヘスーサが太郎を抱きしめた。

 「タロウ、黙っていたけど、ティーナたちは殺されたらしいの」

 え!

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