サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−50「それぞれの運命」

 

この村には、他人のために金を払う余裕のある人間はいない。「それが、アタシの息子の運命なんだよ」

 その晩レヒーノは熱を出した。

 寒いよ、寒いよ、と震えていたが、イネスが作った熱いチョコラーテを飲んで、今はハンモックで眠っている。左の足首にはイネスが拾ってきた板が当てられ、包帯代わりの古布がきつく巻かれている。

 アニタは弟の怪我した足をじっと見つめていた。

 「明日朝一番に病院に連れていこう。そうすれば、心配はいらないから」

 太郎が少女の気持ちを思って優しい声で言った。

 「その必要はないよ!」

 夕飯の後片づけをするイネスが、小屋の中から冷たく言い放った。

 「うちには、医者に診てもらう金なんか無いよ!」

 「金」という言葉に、アニタはビクリと体を震わせた。

 「村のみんなに頼んで、少しずつ協力してもらったらいいじゃないですか!」

 「医者に払う金なんかこの村には無いよ」

 アニタの目から涙があふれ出した。

 「嘘だ! 村の人たちに金がないなんて、嘘だ。ナビダのときには、一週間も酒を飲んでご馳走を食べ続けてたじゃないですか!」

 「タロウ、ナビダはナビダだ。年に一度の祭り なんだから。それがあるから苦しくとも、たえていけるのさ。この村にはナビダのために金を使う人間はいても、他人のために金を払う余裕のある人間はいないよ」

 「でも、それじゃ、レヒーノの足が!」

 「もしカタワになるしかないのなら、それがこの子の運命なんだよ」

 「そんな、・・・」

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!