「危ない! 閉じるぞ!」 波は『発射台』に当たって砕け、白く荒れ狂うスープとなった。

 レヒーノは、見かけない大人がいることに、落ち着かない様子だった。恐れずに大きい波に乗れることを見せようと、懸命にテイク・オフしようとした。しかし、少年の見栄を満足させるような波は、沖合いから割れ始め、レヒーノの待つ「発射台」に当たって砕けてしまう。その岩の脇では、崩れた大波をくぐり抜けるのが精一杯だった。

 「波が小さいね      」

 パコロロにむかってレヒーノが負け惜しみで言った。

 男は薄笑いで答えた。

 馬鹿にされたとそれを取ったレヒーノは、パコロロと大きな岩の間を抜けてもっと沖に出た。潮の満ち引きに合わせて水面から顔を出したり隠れたりする「発射台」とは違って、ひとつ沖にあるその巨大な石の塊は海に沈むことはなかった。長い年月のあいだ潮に削られた岩の切っ先は、分厚い鑿の刃のような形をしていた。

 「気をつけろ、レヒーノ」

 「だいじょうぶ」

 ピートの注意にそう答えて、少年は岩の裏側で波を待った。

 ほどなく大きなうねりが真西から入ってきた。レヒーノは向きなおると、岩へ近づいていった。

 「危ない! 閉じるぞ!」

 ピートの声はレヒーノに届かない。

 薄黒い水の壁が、立ち上がった。レヒーノの体は岩から数十センチの所まで来ている。

 「ノー!」

 太郎たちの制止を無視して、レヒーノはテイク・オフする。レヒーノの体はぎりぎりのところで岩をよけて波に乗ったかに見えた。ボードのノーズが岩をかすめたが、レヒーノは板に立ったと太郎は思った。

 そのとき波が急に閉じた。

 波は太郎のそばでも大きく盛り上がり、レヒーノの姿を隠してしまった。

 「レヒーノ!」

 太郎が叫ぶ。

 波はぎこちなく「発射台」に当たって砕け、あたり一面は白く荒れ狂うスープとなった。

 「レヒーノ!」

 太郎は少年の姿を探したが、見あたらない。再び二つに割れたレヒーノのボードが、とんでもなく離れた岩の間で波に押されて跳ねていた。

 岩に叩きつけられたんだ!

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!