アニタから母親への贈り物は、青と白の縞模様の化学繊維のワンピース。この贈り物で、母親が激怒。
イネスが丁寧に紙の包みを開くと、青と白の縞模様の化学繊維のワンピースが出てきた。
「どお?」
アニタが母親の言葉を待っている。
イネスの表情に喜びはなかった。
「母ちゃん、気に入った?」
母親は答えなかった。そして、ますます険しい顔になった。
「アニタ、これを買うお金はどうした?」
「タロウがくれたの」
無邪気な声が答えた。
イネスが太郎をにらみつけた。
「タロウ、お前はどこでこんな金を手に入れた?」
「・・・」
「正直に言いな」
太郎は黙っていた。
「丘の上のグリンゴに、タロウはもらったんだ!」
レヒーノがかん高い声を上げた。
「母ちゃんにないしょで、グリンゴのところに通ってたんだ。そこで、コンピュータをいじって、金をもらったんだ」
こいつ、いつ覗いてたんだ!
「バカなことしやがって、このアホ娘が!」
イネスは娘の服をつかみ、右手を振り上げた。
「なんで、グリンゴの金だって知ってて使ったんだ! «クスリ»の金だぞ」
イネスが殴ろうとするのを太郎がかばった。
「アニタはやぶにらみに騙されて、«売り»をさせられそうだったんです」
「余計なお節介はしないでくれ、タロウ。こんな危ない金に手を着けるぐらいなら、«売り»をしたほうがまだましだ」
「どうしてですか、それじゃ、アニタがどうされても構わないっていうのですか?」
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キミの探すものは、ココにある!
コ、コレが欲しかったんだよ!
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小説「ソウル・サーフィン(セネガル・カサマンス州カップスキリング岬にて)」
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旅の準備も、晩ご飯も、届けてくれたら、ありがたい。(M)