サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−24「ターンを楽しめ」

 

«ニュージーランダー»は、誤魔化しのボトム・ターンでは、乗れない波だ。

 板の上に立つと、太郎は体を激しく揺さぶって悔しがった。

 まっすぐ降りなきゃダメなんだ! わかってるのに! 正面から向かっていかなくちゃいけないんだ!

 ボードは平らな水面をのんびりと横切って終わった。

 簡単だと思うことが、考えているとおりにできないのは情けない。自分自身を罰するかのように、太郎は背中から音をたてて海に倒れた。

 斜めはダメなんだ。

 海から逃げちゃダメなんだ。・・・。

 沖を見ると、ピートが岩のそばから果敢にテイク・オフして、切れの良いボトム・ターンで水しぶきを上げている。

 しかも、ピートは波の頂上から降りてる!

 波が崩れはじめるピークがどこに来るのか正確に読むのは難しい。そして、タイミングをはかりそこなってパドルが遅れると、巻き上がった波に足から持ち上げられてパーリングだ。体をひっくり返されて、背中から海に落ちる。だから、太郎は安全に必ずテイク・オフできるように、まず波が崩れだしたのを確認してその脇から乗っていた。

 ショルダーからじゃ、ダメなんだ! いちばん力のあるピークからじゃなきゃ!

 ピートはピークからテイク・オフするとまっすぐボトムに向かう。落下するエネルギーを少しの無駄なくスピードに変える。そこで、きちっと腰を落として体をひねり、レールを使ってターン。前足に充分に体重がのり、加速さえするように見える。

 「わかったよ。わかったけど、できないや」

 「気にするな。ひとつひとつのターンを存分に楽しめ。そうすれば、ニュージーランダーが来るころには、できるようになっている」

 「ニュージーランダー?」

 「ニュージーランドの沖合いからやって来るデカいうねりさ。誤魔化しのボトム・ターンでは、乗れない波だ」

 二人の目が、水平線の彼方を見つめて細くなった。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!