サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−22「海に愛される少女」

 

昼下がりの海は、まるでビロードの青布で貴重な宝石でも包むように少女を運んだ。

 ドナとアニタは、もともと仲良かったのかあ、・・・?

 ある日、ラ・プンタに来た二人を見て、太郎は思った。

 それは単なる太郎の勘違いで、二人は知り合ったばかりなのかもしれなかった。

ヘスーサの所に連絡をとりに来るようになって、ドナはアニタと知り合った。そう考えるほうが当たり前だ。

 ただ、二人が双子の姉妹のように溶け合う姿を見たら、誰だって太郎のように思うに違いない。それくらい二人は仲良く遊んでいた。

 でも、二人は似ているんじゃない。まるで、逆だよ。だけど、写真とネガのように、気味が悪いほどぴったり重なるんだ。・・・。

 アニタはレヒーノの継ぎ足しボードを持ち出して、ドナにサーフィンを教えようとしていた。

 アニタがまず先に手本を示す。昼下がりの海は、ビロードの青布で貴重な宝石でも包むようにアニタを運んだ。すっと波の上に立ち、アニタはバランスさえもとろうとしない。波が彼女を裏切るようなことは絶対にしないと信じているかのようだ。

 アニタのヤツ、曲がろうとする気さえないじゃないか!

 それなのに、少女を乗せたボードは華麗なカーブを描く。

 太郎にとって、これは悔しいほどの驚きなのだ。

 僕がやりたくてできないことを、アニタは簡単にしてしまう! 海はヒドいよ!アニタだけ特別扱いしてさ。

 「ようし、コンチクショウ!」

 海に気に入られた少女に嫉妬して、太郎は波の先端をテールで蹴散らそうとする。が、ターンは無惨に失敗に終わって、力あまった太郎は水に落ちた。そこへ崩れた波が落ちてくるのだから、ふんだりけったりだ。

 アニタは海に愛されてるんだ。だけど、僕は、・・・?

 そんな太郎に、ドナのサーフィンはちょっとした救いだった。彼女はボードの上に立つどころか、腹ばいになることさえできない。惨めなドナをいたぶるかのごとく、その行く場所行く場所に意地の悪い波が立った。波のカールの先端は、いつも彼女の頭めがけて降ってきた。

 かわいそうに、ドナは海に嫌われてらあ。・・・。

 そのドナに、アニタが重なるのは、なんでなんだろう?

 交互にサーフィンをする少女たちを見ていて、太郎は考える。

 波に身をゆだねた少女と、波に弄ばれる少女。

 その違いをさがそうとして、太郎は嫌な胸騒ぎがした。

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