サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−20「冬にウェット・スーツ無用」

 

セミ・ドライのウェット・スーツを着て大波に乗るか、サーフ・トランクス一枚で小さい波に乗るか。それが、問題だ。

 季節の変化とともに、海はその流れを変える。夏はあんなにまで澄んでいた海も、秋が深まるにつれその青の濃さを増していく。ラ・プンタで波を待つとくっきりと見えた魚の影も、しだいに暗くなる潮の色に紛れて姿を消した。

 風もほんの少し涼しくなったかな、・・・?

 「発射台」の脇で、うねりに揺れながら太郎は思う。もう大きな波の季節は終わってしまったかもしれない、・・・、と。

 うねりの入ってくる角度もわずかずつ北に寄っていった。

 「南半球の冬が終わって、その低気圧の活動が衰えてきたしるしだ」

 とピートが教えてくれた。

 「ラ・プンタは、大きなうねりを南半球のローリング40s に頼っている。南緯四十度を超えた所で生まれる低気圧が、ここに良い波を送ってくれるわけだ。夏になると、サイクロンが減り、海が穏やかになってしまう」

 一方、メキシコのある北半球では、冬が始まろうとしている。

 「アラスカ沖に嵐が吹き荒れると、カリフォルニアの本当のサーフィンの季節だ。ビッグ・ウェイブが、ウェスト・コーストをヒットする。サンフランシスコからバハ・カリフォルニアまでうねりが旅をしたあと、そのおこぼれがオアハカに来るってわけさ」

 とピートは言った。

 「六ミリ厚のウェット・スーツを着てデカい波に乗るか、サーフ・トランクス一枚で小さめの波に乗るか、それが問題だといえば問題だな」

 太郎は、このところサーフィンの技をおぼえるのが楽しくてたまらなくなってきていた。小さな技術の獲得が、

 「よしっ!」

 という気分にさせてくれるのである。

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