サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−18「なんで服なんか?」

 

裸になって、初めてまわりに溶け込むんだ。なんで僕らは服なんか着るんだろう?

 波は、期待したほどには良くなかった。

 サイズこそ大きいものの、左右に割れているように見えた波は閉じていて、斜めに滑っていけるだけの充分なフェイスが無かった。

 切り立った水の断崖からテイク・オフ。

 頭から落ちながら見る。

  と、それは充分な高さなのだが、右足に体重をかけ片足でドロップし終えると、そこまでだ。

 水の波動とひとつになって、太郎の体は勢いよく押し出された。

 「しずく」と呼ぶには大きな水のかたまりが、裸の背中を打つ。水の動きを全身で感じ、むき出しの股間を風が抜ける。

 海と太郎の間には何も無かった。

 こっちのほうが自然かも、・・・。

 トランクスを身につけない自分が、初めて当たり前に思えた。

 波が巻き崩れて、太郎は水の中に放り出された。

 もみくちゃにされながら、体のすみずみまで海と一体になって、太郎は気持ちが良かった。

 明くる日は、リーナたちを伴ってこの入り江に来た。

 その美しさをたたえる言葉を口にしながら、女たちは服を脱いだ。どこで手に入れたのだろうか、彼女たちはインディオの民族衣装をまとっていた。それがオアハカの人たちの素朴な手によって作られた物であっても、熱帯の太陽と、白い砂浜と、青い空と、それにも増して青い海の前では、やはり不自然だった。

 裸になって、初めてまわりに溶け込むんだ。

 と太郎は思った。

 なんで僕らは服なんか着るんだろう?

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!