サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−17「サン・アグスティニージョ」

 

シポリテ。デンマークの娘たちは、『ロンリー・プラネット』を手にヌーディスト・ビーチを目指す。

 シポリテとは、死人の海だ。

 インディオの言葉でそういう意味らしい。

 さほど長くない砂浜から、岩でできた島が突き出し、そこからプエルトのビーチ・ブレイクにも負けないような巨大なうねりが入ってくる。波は浜のすぐ近くで割れ、沖へ戻る澪の流れは危険なほどパワフルだ。名前の由来に納得がゆく。

 僕にはまだ無理だ。

 太郎がそう思うのは無理もない。

 右手にすっと伸びた砂浜は、岩の島につながっている。そのゴツゴツした頂きには、祠 が立っていた。

 あそこに祀られているのが聖アグスティンだから、ここはサン・アグスティニージョか、・・・。

 全裸の太郎はサーフ・ボードをかかえて、その洲を横切った。

 島の西側は、シポリテとは趣がだいぶ違う。そこには、小さな半月湾が箱庭のようにひっそりとたたずんでいた。

 ここならサーフできるぞ。

 うねりは西の方角から入って来て、入り江の真ん中で立ち上がる。そのピークが底を叩いて、波は右と左へ割れていくように見えた。そして、砂にあふれた水は浜の形に合わせて流れ、両端にある岩場をまわって沖に戻っていった。

 リップの流れを見た太郎は、砂浜づたいに右側の岩場まで歩くと、そこから水に入った。

 パドリングは信じられないほど楽だった。ただ浮いているだけでも沖へ連れていってくれるところに、腕で水をかくのだからいっそう速く進んだ。

 ・・・。ただ裸だと、肌がこすれて変な気分だな。

 サーフ・ボードは長いあいだ雨ざらしにされていたようで、水を吸って柔らかくなっていた。それでいて、強い日差しに表面を焼かれ、ところどころ小麦色に色を変えている。かすかに残ったワックスが、太郎の鼻先で甘い匂いをさせていた。

 なんか、照れくさいや。

 その薫りは、リーナたちが焼けた裸にふる香水を連想させる。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!