サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−10「オアハカの雨」

 

オアハカの雨は長く続かない。激しく降って、ぱっと止んでしまう。そして、そのあとに美しい虹がかかる。

 「ロケット発射台」で波待ちをしているときだった。太郎の肩に水の滴が落ちてきた。

 しぶきだろ。

 と思ったが、手のひらを広げてみると、滴がつぎつぎと空から落ちてきた。

 雨だとわかったとたんに、それはどしゃ降りになった。

 ひゃー、けっこう痛いや。

 熱帯のスコールだ。

 アニタも子供たちも慣れているのか、雨はいっこうに気にならないようだった。

 ひとりやぶにらみだけが子供を抱いて水から上がろうとしている。

 僕も、逃げよう。

 やぶにらみは、砂浜に立てられた日除けに入っていった。流木に葉を結わえ付けただけの、お粗末な日除けだ。

 太郎も、バナナの葉の屋根の下に身を隠した。雨がおかまいなしに入ってきたが、それでも海の上よりはましだった。

 「オラ」

 やぶにらみのほうから太郎に挨拶をした。

 「オラ」

 太郎の返事はどことなく小さい声になった。

 やぶにらみは、オアハカの女には珍しくすっと背が高かった。均整の獲れた胸と腰を持ち、黒い水着がとても洗練されて見えた。その体に、アニタの母親イネスと同じ血を感じさせる厳つい顔が載って、妙にバランスを欠いていた。

 アニタもいつかこんな顔になるのかなあ。

 そんなことを考えると、小さな日除けの中がよけい居づらくなった。

 オアハカの雨は長く続かない。激しく降って、ぱっと止んでしまう。そして、そのあとに美しい虹がかかる。今日は二本かかった。

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  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!