サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−5「え、コンピュータ!」

 

木と葉でできた粗末な家とコンピュータは異質な組み合わせだった。加えて、携帯電話にソーラー発電器まである。

 その日レストランテ・イネスは珍しい客で賑わっていた。二つしかないテーブルにはコロナ・ビールの空き瓶が立ち並んで、客の笑い声が絶えない。

 あのデンマークの女の人たちまだいたのか。

 手と脚がすらりと美しく伸びた女性はメキシコではあまり見かけないので、太郎はあの日の人たちだとすぐにわかった。

 ブロンドの髪は日焼けしてプラチナ色に変わっていたし、ブルネットの人も髪の色が抜けて赤くなっていた。焼けた肌の色で、オアハカの海で過ごした時間の長さがわかった。長い脚を空いた椅子に投げ出してサングラスで瞳を覆い、そのままでは何ら他のバカンスの客と変わりがなかった。

 イネスは久々の白人客の大盤振る舞いに機嫌を良くし、痛々しいほどの作り笑いで応対した。

 「ピートとヘスーサの家はどこかご存知?」

 ブルネットの女がイギリス・アクセントの英語できいた。

 「タロウ、助けておくれよ。アタシは、イングレスは話せないんだよ」

 笑いでごまかしながら、イネスが太郎に助けを求めた。

 「ピートの家を探してるんだって?」

 「アハハ、そうかい。タロウ、連れていっておやりよ。近いんだから」

 「シー」

 はい、とうなづいて、太郎は三人を十字架のある家に連れてきた。ピートはいずに、眼鏡をかけたヘスーサが小さなコンピュータの前で作業をしていた。

 電気もないのに、コンピュータ!

 木と葉でできた粗末な家とPCは異質な組み合わせだった。

 それに、携帯電話にソーラー発電器!

 太郎は驚きを隠せなかった。

 「ハイ、タロウ。そんなにおかしいかしら?」

 ヘスーサは眼鏡をとると優しく微笑んだ。

 「いま本部からEメイルを受け取ったところなの。あなた方が、ティーナ、リーナ、イーナね。私がヘスーサです。よろしく」

 そう言って、三人に握手を求めた。

 初めての挨拶を交わすと、ブロンドの一人ティーナが言った。

 「私たちは、メキシコ・シティーの人権擁護団体の友だちから、あなたに会うように勧められたんです。ラ・プンタのピートとヘスーサに会うようにと」

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!