サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−2「即席サーフ・ボード」

 

「ボクもサーフィンするんだ」は継ぎ足しボードを海に浮かべ、沖へむかって泳ぎだした。

 「母ちゃんはずるいや! タロウが丘の上のグリンゴ(アメ公)の板を借りてるってのを知ってるくせに!」

 レヒーノは涙を目にためて怒鳴った。

 母親イネスは太郎を見た。

 太郎はうつむいていた。

 「アタシは知らないよ」

 イネスは太郎を見つめながら言った。

 「タロウ、本当かい?」

 太郎が答えるまでもなかった。イネスが知らないわけがない。

 「タロウもずるいや! 母ちゃんもずるいや! なんでタロウが良くて、ボクはダメなんだよ!」

 「駄目なものは、ダメだ。タロウはいいなんて、言ってやしない。二人ともダメだ」

 「ヒドいや! そんなのヒドいよ! タロウがサーフィンしてるの母ちゃんは知ってて、ボクだけダメって言うんだ!」

 「レヒーノ! 聞き分けのない子は、これだよ」

 母親は右手を挙げた。

 「あの«おかま»とつき合ったら、しょうちしないよ!」

 母親の剣幕にレヒーノは泣き出していた。

 「タロウがいけないんだ! ケチのタロウが板を貸してくれないから、こういうことになるんだ!」

 レヒーノは家を飛び出して、裏の丘を駆け登っていった。

  それが昨日の出来事だった。

 小屋の脇で何かをしていたとと思ったら、レヒーノはラ・プンタのほうへと砂浜をおりてきた。ニコニコと笑いながら、なんと、サーフ・ボードをかかえている。

 「どうしたんだい、そのボード?」

 太郎が尋ねると、嬉しそうにボードを見せた。

 どこで拾ってきたのだろうか、ボードの前半分が太郎の半欠けボードにくっ付けられていた。ガムテープでぐるぐる巻きにされた胴体から、添えられた板きれがはみ出しているものの、なんとか一枚のボードになっていた。

 「ボクもサーフィンするんだ」

 レヒーノは継ぎ足しボードを海に浮かべ、沖へむかって泳ぎだした。

 無論そんなボードが役に立つわけはない。小さな波に一度叩かれただけで、簡単に二つになってしまった。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!