サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−45「また溺れちゃう」

 

「波が大きすぎるよ、タロウ! また溺れちゃうよ!」

 「タロウ! 危ないよ!」

 振り向くと、泡立ったスープの合間をアニタがパドルしてくるのが目に入った。アニタは、太郎が拾った半欠けボードに抱きついて水をかいている。この少女を波は押し返さないのだろうか、アニタは楽々とショア・ブレイクを通り過ぎた。

 「波が大きすぎるよ! また溺れちゃうよ!」

 「だいじょうぶだよ、アニタ! それを言うために、来たの?」

 「気をつけて! 前を向いて!」

 また沖に向きなおったときだった。セットの大きな波が、太郎の目の前で口を開けた。

 わっ!

 落ちてくる波の先に、太郎は簡単にはねとばされた。

 ボードにつながったリーシュ・コードに足を強く引かれ、泳ぐことができなくなった。

 コードがゆるんで動きが自由になったときには、足の立つ浅瀬にまで太郎は戻されていた。

 アニタはだいじょうぶか?!

 太郎が沖を見ると、少女は大きく揺れるうねりに浮かび、ゆったりと上下していた。

 轟音をたてて崩れる波の向こう側だ。

 アニタは戻れなくなる!

 と太郎はあわてたが、心配はいらなかった。

 アニタは平然と脚を動かして、ラ・プンタの岩場へ近づいていく。

 アウトサイドの岩の脇では、ピートがテイク・オフを待っていた。アニタが何ごとか言ったのか、ピートが手を上げてそれにこたえた。そして、来た波をとらえると、岸までライドした。

 アニタもそれに続いた。

 うねりを正しい位置で待ち、タイミングを計って岸に向きなおる。パドルで加速して、波を滑る。水をレールで切って、波を斜めに走った。うつぶせの姿勢のまま、顔を起こす。ボードの上で胸を張って、見事なカット・ザ・ウェイブだ。

 「アニタは、なかなかやるじゃないか」

 ピートが感心した。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!