サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−41「亀のなきがら」

 

穴の中に、孵化したばかりの、子供の海ガメが、無数に折り重なり息絶えていた。

 しばらくどこかに消えていたかと思うと、レヒーノは小さなカメを手に戻ってきた。

 カメは、レヒーノの掌の上で少しも動かなかった。

 「どうしたの、レヒーノ? それ、死んでるの?」

 「うん。こっちで見つけた。おいでよ」

 太郎がついていくと、大きく盛り上がった砂丘の陰に、いくつか穴を掘り返した跡があった。

 「卵を探してたんだけど、見つかんなかった」

 空いた穴には、卵の殻が残っていた。

 その穴のひとつに、孵化したばかりの海ガメが無数に折り重なって死んでいた。子ガメの死体をレヒーノがすくい上げて、砂の上に落とした。

 「潮のせいだよ。生まれたときに、運悪く水が穴の口をふさいじゃったんだ」

 カメは生きているときとまったく同じ姿をしていた。ただ眠っているだけだと言われれば、太郎はそれを信じたことだろう。ただ、命だけがそこから去っていた。

 「濡れた砂に閉じこめられちゃって、海に出れなかったんだ。まだまだ、たくさんあるよ」

 レヒーノは小さな死体を次から次へと外に出した。

 太郎は放り出された死骸を手に取ってみた。それは、太郎の手の上でも、もちろん動かなかった。

 卵から孵って、これから地上に出ようとして、泥の中で窒息するカメの姿を想像した。

 自分だって、もう少しのところでこうなっていたのだ。

 そう思うと、魂の抜けた子ガメを見ているのが怖くなった。

 太郎は砂に膝をついて、子ガメを穴から出すレヒーノを手伝った。

 ひととおり出し終えると、セットの波が来た。

 大きな波が太郎たちの足元まで押し寄せてきて、引き際にカメの亡骸(なきがら)を海に運んでいった。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!