サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−36「テイク・オフ」

 

ボトムまで何メートルあるんだろう! 他のサーファーは、こんな高い所からテイク・オフしてるのか!

 波の面を見つめていると、太郎の体が理想的な位置に寄っていった。

 うん、これだ。

 波はゆったりと盛り上がり、優しく体を運んでくれた。

 波が割れるぞ。

 アウトサイドの岩に当たって、うねりが急に膨らんだ。インサイドで待つ太郎の背後で、波が白く崩れだす。                 

 来たな。

 波が立ち上がる。

 太郎の右脇で完璧に波が割れる予感がする。

 波がカールする。

 足が頭より高くなる。

 斜面の角度が急になった。

 顔から真っ逆さまに落ちていく感じだ。

 高いなあ。何メートルあるんだろう。みんなこんな高い所からテイク・オフしてるのか。

 「カモン、タロウ。ボトムに突っ込め!」

 わかってる。迷ってないよ。ピート。

 あせってもいないよ。

 そうだ、僕は今あせっていない。

 「波と一緒になりたいと思ったら、水の傾斜の厳しさに気後れしてはならない。こちらも同じだけの厳しさでそれに答えなくてはならない。あらん限りの力を筋肉に込めるのだ。そして、それが摩擦をうわまわるとき、人と海とは対等になり、ボードはスライドしはじめる。それが、海が認めてくれたしるしだ」

 ピートのいつものセリフが太郎の耳元で聞こえたような気がした。

 いいぞ!

 ボードの重さが消えた。

 滑りはじめた!

 両腕でボードの脇を握る。

 それを支えにして、左膝を引き付ける。

 足はボードをグリップしたか?

 よし、ゆっくりと立ち上がれ。

 ・・・。・・・。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!