サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−35「ショア・ブレイク」

 
 海はこういった自殺行為には冷たく対処

する。

 やみくもな決断は、頭からひっくり返る

パーリングに終わった。

 「洗濯機セクション」にたたき落とされ

た太郎は、惨めに岸まで押し流された。

 そして、もう一度沖にこぎ出るところか

らやり直しだ。

 波は明らかに大きくなってきていた。

 砂からすぐの所で割れるショア・ブレイ

クが大きく、太郎をボードごと容赦なく叩

いた。

 沖に出られない情けなさは、たとえようもない。

 泣き出す直前のあの感じが、胸にこみ上げてきた。

 なんで、ダメなんだよ。

 なんで、思い通りになってくんないんだ。

 崩れた波が太郎を岸まで押し戻す。

 それでも太郎はパドルする。

 パドルして、パドルして、疲れて顔を上げると、また波が

やって来る。

 諦めて立つと、腰にも満たない浅瀬まで戻っている。

 それでも、淡々とパドルを続ける。

 波に体を打たれる痛みや泳ぎ疲れた筋

肉のだるさは、しだいにどうでも良く

なってくる。

 目の前にうねりがやって来て高く盛り

上がった。

 割れる、と思った波が割れなかった。

 太郎の体は丘を登るように、うねりの

背を越えた。

 いつの間にかショア・ブレイクを抜け

ていたのだ。

 「タロウ、イイ波だ! 譲ったぞ!」

 水平線がそのまま盛り上がって、ゆっ

くりと青い壁が近づいてくる。

 太郎は静かな気持ちだった。

 脚が自然に水をキックして、体が岸を

向き、太郎は腹ばいになった。

 パドルを始める。

 ひとかきごとにボードは加速していく。

 「後ろを振り返れ! 波のフェイスを

見つめるんだ!」

 オーケイ、ピート。

 何度も振り返り、波のなめらかな面を

探す。

 太郎はいつもここで怖がってしまう。

 岩に近づかず、安全に済ませようとし

てしまう。

 そして、波の最も力のある部分は、馬

鹿にするかのように離れた所を通り過ぎ

ていく。

 だが、今度は違った。

 

「タロウ、低気圧が近づいてきて、波がデカくなってきたぞ」

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!

  1. 箇条書き項目上は、プエルト・エスコンディードのビーチ・ブレイク。写真のライダーは、タマヨ・ペリー。彼は、ビデオの中のインタビューで、ワイメアのショア・ブレイクに、この波をたとえています。「パイプラインと、サンセットと、ワイメアを縄でひとくくりにしたような波だよ。空気がカラカラに熱いから、ビールがめちゃめちゃにうまいよ」と。安全という意味では、ボトムが岩であるバイプのショア・ブレイクよりはましかもしれませんが、この波のサイズで、水深1m程!

ハワイ、ワイメアのショアブレイク。巻かれたらキツい!