サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−33「オフ・ショアの風」

 
 おだやかな風が丘から海に

むかって吹いていた。

 午前中の風はこうでなくて

はならない。

 このオフ・ショアの風が、

崩れようとする波の表面を

ぐっと押さえて形を整える。

 サイズこそ小さいものの、

波は良い形をしていた。

 それが、ラ・プンタの岩に

当たって、リンゴの皮でもむ

くように左から右へ割れてい

く。

 もちろん沖にはピートがい

た。

 波に乗る。

 腰を落とす。

 重力を膝に。

 綺麗な波のおもてに、ピー

トは思うがまま幾何学模様を

刻んでいく。

 ターンだ!

 左腕を後ろに振る。

 背骨のねじれが脚に伝わ

る。

 サーフ・ボードが水を削

る。

 いいなあ。・・・。

 ピートの体の動きの真似

をすると、太郎の神経にも快感が伝わってくる。

 砂浜でぼんやりと眺めていなければならない義務はない。

 太郎はロング・ボード片手に海へむかって駆けだした。

 「やあ、タロウ。遅いじゃないか」

 岬の岩の脇のテイク・オフ・ポイントで、太郎はピート

に声をかけられた。

 「今日は波のシェイプがいい。君は、いい時に来た。こ

れから、もっと良くなるぞ」

 良いうねりが沖に見えた。

 太郎は、思いっきり岩の近くに寄った。

 それよりほんの少し沖、岬の先端によった所にもっと大きな岩がそびえていた。

 大きめの波はここから割れ始める。

 太郎の脇には、小さめの波が割れるもう

一つの岩があった。

 潮が満ちるとこれは水に潜るのだが、今

は水面にぎりぎり顔を出している。

 その二つの岩の間では、波をとらえるこ

とはできない。

 どちらかの岩にくっついて待つ。

 沖のアウトサイドの岩は難しく、岸に近

いインサイドのほうが確実だ。

 太郎はインサイドの岩が気にくわない。

 いつもこの岩を恐れて波に乗り損ねる。

 アウトサイドの波も不愉快だ。

 それは、波に乗れない太郎を岸まで押し

返してしまう。

 イライラさせるのは何も岩や波だけじゃ

ない。

 いちばん頭にくるのは、グズグズした自

分だ。

 

オフショアの風と言えば、下のビデオのようなイメージでしょうか? 千葉県片貝海岸の

新堤の右脇にもこんな波が立ちますが、これはカリフォルニアのハンティントン・ビーチ。

ピア(桟橋)の上から、サーファーが沖へとゲットアウトしていく様を見せてくれます。オ

フショアの風が作る美しい波。いつも、こうだと良いんですが。上のビデオは、カイト・

サーフィン。風の力をかりるカイト・サーフィンも波のサイズがこれだけでかくなると、別

のスポーツに変身。ビデオはプエルト・エスコンディードではありません。カイト・サー

ファーのトリップをまとめたものです。大人が本気でサーフィンを始めたいと思ったら、

どうするか? 最低ひと月のまとまった時間を作ることから、大人の上達はスタート。もち

ろん九十九里でもオッケーですが、コスタリカのハコ・ビーチのような遠浅でコンスタント

に波がある場所が、初心者には理想的。上達したら、隣のプラジャ・エルモサヘ移動。

オフ・ショアの風が、崩れようとする波の表面をぐっと押さえて形を整える。

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!

小説の文章による描写を、視覚的に見るためには、このビデオ。ラ・プンタの岩の配置がよくわかります。

Kenny Brooks☞


Sam

    Keli’io’malu


ともにタイトルは

Off shore


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