サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−29「ボディー・ボードの女性」

 
 ボードはそのまま浜に置き去りにされて

いた。

 潮が満ちてきて、そして引いていって、

海に流されてしまうのではないかと太郎は

気が気でならなかった。

 日が暮れても、月明かりの中でボードは

ぼうっと白く闇に浮かんでいた。

 夜が明けても、朝日に乾きはじめた砂の

上で海を望むように横になっていた。

 太郎は我慢がならなかった。

 イネスがどこかに出かけたすきにボード

を抱えて海に出た。

 イネス母ちゃんに見つかったらヤバいよ

な。・・・。

 だけど、自分はどうなっちゃったんだろ

う?

 サーフィンなんて嫌いなはずだったんだけど。・・・。

 ロング・ボードに腹ばいになってパドルしながら、太郎は考えた。

 波は昨日と同じようにやってきた。

 そして、太郎は一つも乗ることができ

なかった。

 明くる日も、また明くる日も、太郎は

イネスの目を盗んで沖に出た。

 半欠けボードでの要領で、腹ばいなが

らも波の上を滑れるようになると、もう

駄目だった。

 イネスの目などもう気にしてなどいら

れなくなった。

 滑り出しの直前のおごそかな緊張は、

板のスライドと同時に解き放たれ、その

瞬間がたまらなく気持ち良いのだ。

 もう一回、もう一回。

 ついつい太郎は日が暮れるまでくり返

してしまう。

 ようやくラ・プンタにも慣れはじめて

きた頃のことだ。

 それまで見たことのない姿を、岬の岩

場に見かけた。

 髪が長く褐色の肌をしたインディオの女性だった。

 それから太郎はその女の人をときどき見かけるようになった。

 ボディー・ボードを持って良い波の時だけ出てきて、小一時

間も波乗りをするとさっといなくなってしまう。

 綺麗な人だな。誰なんだろう?

 と太郎は思った。

 いったいどこに住んでいるんだろう?

 ピートは浜に来なかった。

 ボードは、緑の丘が途切れて白い砂にかわる境の茂みに隠すことにしていた。

 

髪が長く褐色の肌をしたインディオの女性。彼女は、波の良いときだけボディー・ボードを持ってやって来る。

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  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!

  1. 箇条書き項目マリアナ・ボルソーニ。ブラジル人ボディーボーダー。同国サンタ・カタリナ州のシークレット・スポットにて。

ブロンドの女子ボディーボーダー、ファビ・コレアには、女の子だって憧れます。ビデオの中で背景に見える高層ビルは、リオデジャネイロ。大都会の一部で波乗りができるなんて、コパカバーナ・ビーチって、最高!

オアハカ州には、スペイン人の植民が始まる前からそこを古里としていた先住民族の人たち(インディヘナス)がたくさん住んでいます。これは、お隣の州チャパスでも、その先の国グアテマラでも同じです。ビデオの中では、グアテマラの美しいインディヘナスの女性たちが、ビキニや民族衣装に着替えながら、地元の『演歌』を歌ってくれます。