サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−28「プートというスペイン語」

 
 くたくたになって三人が浜に

上がると、小屋から母親のイネ

スが駆けだしてきた。

 そして、レヒーノと太郎を

ピートから引き離して抱きしめ

た。

 「この子たちに何しようって

んだい! プート!」

 『プート』というのは、«男

を愛する男» を蔑んで呼ぶスペ

イン語である。

 「アタシの息子たちに指一本触れてごらん、お前を殺すからね!」

 イネスはマチェーテを握りしめていた。50センチを越える両刃の鉈だ。それを頭上に振りかざした。

 「私がいったい何をするって言うのですか?」

 「この子たちも、ドメニコみたいに殺す

気かい!」

 「そんな馬鹿な」

 「グリンゴと«クスリ»が、弟を殺したん

だ!! お前がこっそり«仕事»してること

ぐらい知っているんだよ!」

 ピートは何も言い返さなかった。

 「レヒーノ! その変な板きれを返して

しまいな! それがプートの手口なん

だ!」

 レヒーノは母親の剣幕に圧倒され、ゴミ

でも捨てるかのようにガン・ボードを放り

投げた。

 「ほら、タロウ、お前もだよ」

 まだ昼だ。太郎は、一休みのあとでサー

フィンを続けたかった。

 「タロウ、お前もプートかい! プート

の遊びをする日本人プートかい! プート

は家においとけないよ!」

 太郎がどう答えるのかレヒーノが心配そ

うに見ている。

 仕方ないヤ。・・・。

 丁寧にリーシュ・コードをテールに巻き

付けると、太郎はロング・ボードをピート

に返した。

 「ありがとう」

 「タロウ、明日もサーフするか?」

 太郎はピートを見た。

 「このプート野郎! この子を巻き添えにするんじゃない

よ! この子は、アタシの日本人の息子なんだからね!」

 「・・・、今日はどうもありがとう」

 それだけ言って、太郎はレヒーノ親子と一緒に歩きだした。

 「ボードは浜に置いておく」

 ピートが背後から言ったのが聞こえた。

 「あんなグリンゴと関わり合いを持つんじゃないよ。何に巻

き込まれるかわかったもんじゃない。気をつけな、タロウ。メ

キシコじゃ、人の命なんてとっても安いんだから」

 
«メキシコのスペイン語ワン・ポイント講座»
「プート」というスペイン語は、メキシコ人の仲間ができたら、それは、もう、頻繁に聞くこ
とになる単語です。似たような表現に「プータ」という語もあります。まず基本として知ってお
いていただきたいのは、スペイン語で最後が「オ」の母音でおわる単語は男性、「ア」の母音で
おわるのは女性ということ。「マリア」といえば聖母マリア、「マリオ」といえばマリオ兄弟、
という感じ。ですから、本文中にもあるように、「プート」といえば、『男性を愛する男』の蔑
称となります。「マリコン」も同じ意味で、蔑称。「マリコンシート」と、「小さい」を意味す
る「シート」を加えると、「かわいいマリコンちゃん」の意味になり、軽蔑の度合いは弱まりま
す。一方、第三の性「ムシェ」には、少なくとも、フチタン、テウアンテペックといった地元に
おいては、軽蔑の意味はありません。
気をつけてほしいのは、「プータ」。
これは、「春をひさぐ女」の意味。た
だし、文脈の中でさまざまな意味にな
ります。代表的なのは、「プータ、
マードレ!」。直訳すると、「春をひ
さぐ母」ですが、たいていは驚きの表現として用いられます。ニュアンスが難しいので、慣れるまでは真似をしない方が得策かも?

『プート』というのは、「男を愛する男」を蔑んで呼ぶスペイン語である。

トップ » 第二章 「ラ・プンタ」と呼ばれる岬で、サーフィンと出会ったなら? » 28 「プート」という スペイン語 43 頁

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surfmexicoryoko@gmail.commailto:surfmexicoryoko@gmail.comshapeimage_4_link_0
スペイン語って、本当に必要なの、メキ
シコを旅するのに?
【答】ないです。(会話集は、要携帯)
え! ホントに!
【答】英語で、OK。ただ、ディープなメ
キシコに踏み入るためには、必要。「習
うより慣れろ!」「現地で学ぼう!」

美人だと言われてしまえば、まあ、そう見えないこともないん

ですけれども、・・・。実は、彼女は男なんですよね。まあ、昨

今の日本のテレビでは見慣れてしまった存在ではありますが、メ

キシコのオアハカ州フチタンの周辺では、起源が判らないくらい

大昔からこのサポテック族の風習が続いているんです。タヒチで

レレ(レイレイ)もしくはマフ(マウ)と呼ばれている人たちと

同様、男性として生まれながら、女性の役割をする人たち。ここ

オアハカでは、第三の性「ムシェ」として、ごく自然に社会・習

俗の一部をになっています。彼らの中には、女性らしく振る舞い

ながら女性と結婚し父親となっている人もいれば、一般女性のよ

うに男性を性的対象とし恋愛の相手として選ぶ人もいます。 ベラ

クルースの現代的な「マリコン」とは対照的な、土俗的なオアハ

カの「ムシェ」 。父の肉体を持つ大地の母。このビデオは、メキ

シコの方がアップしたものですが、制作したのは日本のテレビ

局。もちろん説明は日本語です。十数回に分割されていますが、

全編を YouTube でご覧になることができます。