サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−26「 ロング・ボードが降ってくる!」

 
 うねりが切り立って、カールになった。

 波が掘れる。

 躊躇のためにスタートが遅すぎた。

 テールが押し上げられ、先端のノーズに水

がかぶった。

 どん。

 水の抵抗が増す。

 波の力で、ボードはノーズを支点に縦に半

回転する。

 太郎の体は宙に放りだされた。

 まずい!

 重いロング・ボードが降ってくる!

  太郎はとっさに後頭部を両腕で守った。

 大きな音をたてて、太郎の体が水に落ち

る。

 ボードが頭の上を通り抜けていった。

 リーシュ・コードの付いた右足が引きずら

れ、体が浮かび上がらない。

 どっちが上なんだ。

 わからないよ。

 まるで洗濯機の中だ。

 ・・・。

 十数メートルも岸にむかっ

て流されただろうか。

 体を引いていたコードが

やっとゆるんだ。

 ボードの動きが止まったの

だ。

 太郎の体も自然に浮かびだ

した。

 なんだよ。

 こんなに浅いところで苦し

んでたのかよ。

 顔を水の上に出すと、ナイ

フのようなフィンを表にボー

ドが漂っているのが見えた。

 リーシュ・コードをたぐり寄せて、太郎

はボードのテールに手をかけた。

 とたんに、白く砕けた波の帯が太郎を板

ごと岸に運んだ。

 ボードは、浜の濡れた砂にめり込んで止

まった。

 「タロウ、だいじょうぶ?」

 四つんばいの惨めな姿勢から砂だらけの

顔を上げると、声をかけてくれたのは幼い

レヒーノだった。

 太郎が浜に残した半欠けのサーフ・ボー

ドを手にしている。

 「ああ」

 少年の親切に、太郎の答える声が不機嫌

になった。

 太郎が立ち上がるのを待たず、すかさず

レヒーノはロング・ボードに触れている。

 「面白い、これ?」

 レヒーノにはそのつもりはないのだろう

が、質問がいちいち太郎の小さな自意識を

傷つける。

 

まずい! 分厚くでかいロング・ボードが降ってくる! 太郎はとっさに後頭部を両腕で守った。

トップ » 第二章 「ラ・プンタ」と呼ばれる岬で、サーフィンと出会ったなら? » 26 ロング・ボードが降ってくる! 41 頁

  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!

ロングボード全盛の時代を知るには『ビッ

グ・ウェンズデー』が最適。サーフィンの勃興

期から、ベトナム戦争、フラワー・ムーブメン

トを経、«ショートボーダー»という新世代の誕

生へと時の移りゆく様を、三人の男達の青春・

成熟・挫折・復活に合わせて描く作品。第二章の22(37頁)の中で、哲人ジェリー・ロペ

スが語っている「価値」を知るには、かっこう

の教材です。なあに、大波に挑むサーファーの

気持ちは、何も変わっていません。

ナイスなハング5。2008年にフロリダで撮影されたこのビデオは、現代のロングボーダーが見せる新旧のテクニックのコレクション。全盛時をしのばせる音楽もつまっていて、正統ロング派にはうれしい。

この、砂丘を駆け下りるロングボーダー達を見

て、あなたは場所の名前がわかりますか? 答えは

「南アフリカの聖フランシス岬」。砂山を下った若

者達は、浜の先に理想の波を見つけます。強い海

流、常に吹くオフ・ショアの風、岩と岩の間に堆積

した砂丘の砂。すべてのコンディションを完璧に整

えた波は、マシーンのようにブレイク。そして、そ

のライドの長さ! 撮影のカメラマンのフィルムが

終わってしまっても、ライドは続きます。このブレ

イクは、エンドレス・サマー2にも再登場。(ド

キュメンタリー映画)

☜ロバート・オーガストは「元祖
エンドレス・サマー」の主人公。今
はシェイパーです。ウィングナット
は、「エンドレス・サマー2」に登
場し、ロングボード片手に世界を旅
します。 ☞ Bear は「ビッグ・
ウェンズデー」のシェイパーの名。
 ベアーはボードをシェイプして、
ショップのオーナーになり、BEAR 
ブランドを立ち上げます。 BEAR のボードは時を超えて、今に生きま
す。売り切れに、ご注意!