サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−18「やぶにらみの女」

 
そこで遊んでいると答えると、女は太郎に向

きなおって「またね」と挨拶した。

 女は太郎を見つめていたのではない。

 やぶにらみの目の一つが、たまたま太郎の

ほうに向いていたのだ。

 女はアニタにも「アスタ・ルエゴ」と告げ

て、来たときと同じように岬へ歩いていっ

た。

 レストランテ・イネスの「小屋」に戻っ

て、太郎は水をがぶ飲みして腹一杯食べた。

 そして、ラ・プンタに駆け戻った。

 それから日が沈むまで半欠けボードで遊ん

だ。

 もちろんこの日だけではない。次の日もまた次の日も海に出るのは誰よりも早かったし、海に最後まで残っ

ているのは太郎だった。すぐに、アニタの助けがいらなくなるほど上達した。

 

薄い生地の黒いワンピースが揺れる。美しく痩せたからだが透けて見える。やぶにらみの目が太郎を見ていた。

 むこうから女が一人歩いてく

る。

 ゆっくりと、何も気にするこ

とはないという風情でいなが

ら、一歩一歩確かな足どりで

やって来る。

 どこかを見ているかと思え

ば、関心なさそうによそを見て

近づいてくる。

 とても薄い生地の黒いワン

ピースがはたはたと揺れて、美

しく痩せたからだに形の良い胸と尻が透け

て見えた。

 「ブエノス・ディアス」

 こんにちは、とすれ違いざまに女が言っ

た。

 こちらの返答を少しも期待しない風だっ

た。

 アニタは丁寧に挨拶をして、オアハカの

女たちが皆するように世間話を始めた。

 女は三十になるかどうかという年齢だろ

う。

 浜辺の村には珍しい短く刈り上げた髪の

 
  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!

下に、やはりここでは珍しく化粧を施されたまだ若い目元があった。

 年齢の割にはしわがれた声が妙に耳についた。

 それにしても、どうしてこの女の人は僕を見ているんだろう?

 アニタと話をしているのに、瞳はこちらを向きっぱなしだ。

 「アタシの息子たちは?」

 女は会話の終わりにそう尋ねた。

 アニタがラ・プンタの岩場を指さして