極大の波となって掘り上げられた海は驚くほどに浅く、背中が底の岩に触れた。表面に繁茂した苔が鈍い感触を皮膚に残す。

 一つ目の波が来た。

 うねりは少し沖から崩れはじ

め、太郎の目の前に白い波の頭

が広がった。

 太郎は懸命に腕を回し、波の

斜面をのぼった。

 水面が掘れ込んで猫の爪のような弧に形を変えようとした。

 その直前で、太郎は何とか波

の頂上を乗り切った。

 二つ目の波も辛うじて乗り越

えた。

 しかし、三つ目が見えたとき、これはダメだと観念した。

 ひとつのセットとなってやって来た波の中でも三番目はひときわ大きく、はるか沖合いから割れはじめた。

 なんだ、これ!

 波の底の太郎の位置から見上

げると、切り立ったその先まで

二階建てのビルほどある。

 水平と波の面が作る角が一定

の度数を超えると、巨大なエネ

ルギーの固まりは自らの重さに

耐えきれなくなり崩れはじめる。

 これほどのサイズを持つ波と

なると、それは崩れるというよ

りも、波の先端を投げ飛ばして力まかせに下に叩きつけるというほうが正しい。

 太郎は、その力が落ちていく先の、まさにその点にいるのだ。

 膨大な量の水が降りかかりそうになったとき、太郎の体は波の底と共に宙に巻き上げられた。

 空に放り出されるかと思うまもなく、太郎は波の一部となって落下し、水面に叩きつけられた。

 と、遅れて落ちてきた水の塊が、太郎の体を強かに殴りつけた。

 う。

 一瞬息が詰まり、ボードが吹き飛ばされる。

 極大の波となって掘り上げられた海は驚くほどに浅く、背中が底の岩に触れた。表面に繁茂した苔が鈍い感触を皮膚に残す。

 上に!

 水流にもみくちゃにされなが

ら、太郎は必死に水面を探そう

とした。

 しかし、あたりは一面白い泡

の世界だ。どちらが上でどちら

が下なのか見当がつかない。

 息が詰まってきた。胸が押し

つけられるような気がして、手

や脚に力が入らなくなる。

 早く上に!

 光だと思ってそちらに手を伸ばしたら、指の先に底の砂を感じた。

 マズいと思ったとたんに頭の中が白くなりはじめた。

 
  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!

このビデオはフィジーで撮影されています。良い波がありますよね、フィジーには。