サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−13「グアダルペの処女」

 

それは西欧のマリアとなんら変わるところはないのだが、ただ肌の色だけが黒かった。

 それから、どれくら

い時間が経ったのだろ

うか。

 気づくと、隣にバス

が止まっていた。

 メキシコ・シティー

から乗った長距離バス

だった。

 ふらふらと、太郎は

入り口のステップを上

がった。

 最初に目に入ったのは、水の入ったプラスチック・ボトルだった。

 中年女の手がそれを握って近づいてくる。

 女が何か言った。

 なんと言ったか、ぼんやりした太郎の頭には分からなかっ

た。

 水のボトルが太郎の目の前に来た。

 太郎はそれを奪うように取ると、ゴクゴクと音を立てて飲み

はじめた。

 女の顔が見えた。

 何か言うように口が動いた。

 女は太郎を座席に座らせた。

 太郎は水を飲み続ける。

 ボトル越しに、バスの運転席が見えた。

 ルームミラーに十字架がぶら下がっている。

 その上には金色の額に縁取られた聖母の絵が掛かっていた。

 それは西欧のマリアとなんら変わるところはないのだが、

ただ肌の色だけが黒かった。

 こんな所に、「グアダルペの処女」が、・・・。

 次第にはっきりとしていく頭の中で、太郎はそう思った。

 「とっても喉が渇いていたんだね」

 家族と一緒に旅をしている中年女が、いたわるように言った。

 「ごめんなさい。全部飲んでしまいました」

 「いいんだよ。良かったらこれもお食べ」

 女は、パンとオアハカの白いチーズを太郎に与えた。

 何も食べていなかった太郎は、手にした食べ物にむしゃぶり

ついた。

 そして、腹の満ち足りた太郎は、眠りに落ちた。

 

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  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!

  1. 箇条書き項目大きな力に抱かれて、その愛で守ってもらう。「グアダルペの処女(グアダルーペの聖母マリア)」の奇跡の力は、キリスト教徒だけを救うのではありません。聖母は、その起源がアズテカ文明の女神にあるとも信じられ、その前にひざまずき助けを求める者すべてに救いの手を差し伸べるのです。大きな波を呼ぶ海の女神というわけでは必ずしもありませんが、この小説の後半でも、オアハカの少年が「グアダルペの処女」に大波が来るよう願うというシーンがあります。(☞第四章2頁参照)メキシコの黒い聖母マリアを身につけ、「わざわい」からあなたを守ってもらいませんか?

「骸骨が幸運を呼ぶ」日本人にはちょっと思いもよりませんが、メキシコの人たちに取っては当たり前のこと。メキシカン・スカルリングは、ラテンな装いにピッタリ。よりディープなメキシカン信仰のためには、「グアダルペの処女(グアダルーペの聖母マリア)」を身近に置き、彼女の力で守ってもらいましょう。指輪もありますが、ここでは陶器製のインセンス・ボトルを紹介させていただきました。