サーフィン小説風メキシコ旅行記

ラ・プンタ

−7「サーファーは嫌いだ」

 

太郎のバイト先のコンビニにウェット・スーツのまま入ってきては、サーファー達はしばし床を水浸しにした。

 日本でも、太郎は波

乗りをする連中が好き

ではなかった。

 バイト先のコンビニ

にウェット・スーツの

まま入ってきて、彼ら

はしばしば床を水浸し

にした。

 そんなときの後始末

は、いつも余所者の太

郎の仕事だった。

 バスは満員だった。通路は荷物が埋めつくし、乗客はその上を歩いていた。

 太郎の隣には、メキシコ人の少女が座った。

 僕より、少し年下かな。・・・。

 安物だけれども、清潔な白いワンピースを着た少女は、大

きなラジカセをかかえていた。

 「これ、叔父さんに買ってもらったの」

 欲しかった物を手に入れた嬉しさで、明るい声がはずんで

いる。

 やっとバスが動きだした。

 陽はあらかた沈みかけていた。

 動きだしてしまうと、車は順調に進んだ。メキシコ・シ

ティーを縦断する幹線道路から、「太陽の高速道路」に入る

と、スピードは百五十キロを超えた。

 「あの赤い車は、いったい何キロ出しているんでしょうか?」

 英語の声がした。

 振り返ると、白髪の老人が手を差し出している。太郎が握手に答えると、老人はスウェーデンから来

たといって名乗った。

 「二百キロは軽く超えていると思いませんか? あの車は、あなたの国の車でしょう?」

 「はい。パパが勤め

ていた会社の車です」

 「速くて、美しく

て、私はとても好きで

す。あなたにお会いで

きて光栄です」

 老人はゆっくりとし

た非常に丁寧な英語で

そう語った。

 「あなたはスウェー

デンから来たんです

か! 私たちはデン

マークからです。私のおばあちゃんはスウェーデン人なんですよ」

 後ろの座席で、はしゃいだ女性の声が言った。英語はそこまでで、聞き慣れない北欧の言葉が後に続

いた。

 夜はだんだんと更けていった。

 太郎は眠った。

 

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  1. 箇条書き項目キミの探すものは、ココにある!

  1. 箇条書き項目コ、コレが欲しかったんだよ!

  1. 箇条書き項目セミ・ドライ、やっぱり必要ですよね。まずは、値段とご相談。「熱帯へ飛ぶか、ウェット・スーツに投資か」悩んでいるあいだに、どこかで人知れずに良い波が割れている。決断を!

  1. 箇条書き項目鮫に襲われ腕を失った女性サーファーのビデオ。感動です。ページ下もご覧下さい。

  1. 箇条書き項目サーフィンへの愛は変わらず。第二章の7「巨大鮫ブルーノ」にもビデオがあります。