太郎は空腹で目が覚めた。突然、老婆が、・・・。

 
太郎は空腹で目が覚めた。

 テレビが点けっぱなしになっている。

 ・・・。寝ちゃったのか。

 腹が大きな音をたてて鳴った。

 そういえば、昨日、機内食を食べてから、何も食べてないや。

 腕時計を見た。

  「まだ五時だ」

 腹がもう一度音をたてると、本当に空腹が身にしみてきた。ベッドの中には居られなくなって、立ち上がった。

 カーテンの隅をめくって、外をのぞいてみる。短い夏の夜は、すでに明けていた。窓の下の通りを見た。昨日の騒ぎが嘘のように静かで、朝のすがすがしさが満ちている。

 安全そうだと判ると、よけいに腹が減って仕方がない。

 太郎はホテルを出た。

 近くに、市場があった。ほとんどのシャッターはまだ降りていて、開店している店は少なかった。

 でも、どこかで食べ物を売ってるだろう、・・・。

 太郎は中に入っていった。奥に行けば行くほど通路は細くなり、右へ左へ迷路のように曲がった。明かりも暗くなっていく。

 おや、と太郎は思った。

 薄暗がりの中に、クリスマスのような照明をこうこうと点けた店が一軒見えたのだ。

 光のほうに進んでいくと、それは瀬戸物でできた人形を売る店だった。粗悪な作りのイエス・キリストや赤子を抱くマリアが、何十体も並んでいる。同じ型から作られた同じ像が、点滅するランプに合わせて色を変えた。

 店の前には、店番の老婆が椅子に腰掛けていた。女は太郎を見つめている。その不思議な眼差しは、早くこちらに来いと言わんばかりだ。

 「タロウ」

 突然老婆が名前を呼んで、手招きした。

 
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